日本各地の発酵食品をご紹介します。世界の食文化研究の第一人者、石毛直道の「発酵コラム」も必読です。 塩辛 【がん漬け】 カニをまるごと塩漬け 「がん漬け」(かに漬け、がね漬けとも)は、九州・有明海沿岸で親しまれているちょっと珍しいカニの塩辛です。じつは『万葉集』にもつくり方を歌う長歌が残っているほど、古い歴史を持っています。有明海の干潟にすむシオマネキは、片方だけ甲羅の幅よりも巨大なハサミをもつ体長5cmほどの小さなカニ。このシオマネキをまるごと臼やすり鉢でつき砕き、2割ほどの塩と唐辛子を入れてかめやびんに詰め、1カ月ほど発酵させます。そのまま酒の肴として楽しめるほか、地元ではお味噌汁などにも入れるそうです。