Scenario T 巨大テック企業が牛耳る、超競争社会
巨大テック企業が米中に分かれて争い、
個人情報保護を推進したアメリカが優勢に
2020年のパンデミックを巡る米中の制裁合戦の結果、
中国企業も個人情報保護などの世界標準を一定程度受け入れることが合理的と考えた。
米国のGAFAと中国のBATH※が覇権を争い、複数のプラットフォーム間で自由競争が起きた。
しかし、中国覇権に怯えるアジア諸国や西側先進国の中国不信は根強く、GAFA陣営が優勢となった。
パンデミック後の経済は北米を中心に回復し、2030年に世界は4%成長を達成している。
ブロックチェーンで守られた個人情報の中央管理が進み、
巨大テック企業が「データに基づいた健康的生活環境の構築」を推進している。
データを活用したい企業が多数プラットフォームに集まり、巨大テック企業に対価を支払っている。
プラットフォームからは「センシングからセルフメディケーション/アプリ治療まで」の一次医療システムが提供され、
5G普及とあいまってリアルタイムで大量のデータが蓄積・解析されている。
巨大テック企業は資金力とデータでニーズに素早く対応し、
健康状態や生活の利便性を上げる様々なサービスを提供して信頼を確立している。
診断や予防・疾病管理が可能になる自動化技術や、ゲノム編集等の先端技術活用も進んだ。
競争社会の中で生活者は利便性を重視し、
信用スコアに縛られ、クラス間の分断も発生
「感染症追跡アプリ」をきっかけに普及した「信用スコア」。
生活者は「信用スコア」による格付けの下で、職を巡る競争にさらされている。
機械への代替も含め競争は熾烈で、スキルのあるエンジニアはリモート&プロジェクト型で働く一方、
低賃金をギグエコノミーで補う人も多い。その結果、クラス間の分断があからさまになった。
生活者は、スコアに寄与しない生活部面の外部化など、時間コストの効率化を優先し、
ライフログなどの個人情報提供と引き換えに、プラットフォームから得られる便利なサービスを喜んで利用している。
タイムセービングにつながる効率的なチャネルを選択する傾向を強め、
GAFAはネット販売に加えてリアル店舗も交えて、そのニーズに応えている。
VRやAIを利用した単身者向けサービスも次々に提供される。
生活習慣改善による健康状態やパフォーマンス向上がスコア化され、
行動で保険料が低下する保険や、年収アップにつながる AI 食事指導が普及している。
※ 中国のIT企業であるBaidu(百度/バイドゥ)、Alibaba(阿里巴巴集団/アリババ)、Tencent(騰訊/テンセント)、Huawei(華為技術/ファーウェイ)の頭文字をとったもの