Scenario C 中国が席巻する、行動監視と技術革新の社会
パンデミック対応を機に、中国が一帯一路構想を強力に推進し、
中国経済圏を確立
国家資本主義の利点とBATH※1によるデジタル技術・AIの進化を背景に、中国が一帯一路構想を加速させる世界。
2020年のパンデミック処理でもたついた欧米と行動監視を進めた中国との差が拡大。
米中は経済戦争を繰り広げたが2025年までに中国優位が不動となり、
日本を含むアジア諸国は広く取り込まれた。
感染症対策として確立した個人行動監視システムはパッケージ化され、“健康一帯一路”としてイタリアなど欧州の一部まで広がる。
「中国製造2025」政策のもとで技術革新が進み、生活が自動化した未来都市が経済圏内にいくつも生まれた。
AIを活用したゲノム技術は目覚ましい進歩を遂げ、医療や食料問題の解決に貢献。圏内の人々はその恩恵を享受している。
生活者は自動化技術の恩恵を受ける一方、
行動監視や信用スコア向上に追われる日々を過ごす
BATHが展開する信用スコアは中国内だけでなく経済圏に広く普及。
個人への信用付与にとどまらず、結果としてより良い社会づくりにつながっている。
医療・健康データを集約し、個別化された健康サービスを生み出す中国プラットフォーマーが世界最先端のOMO※2を実施。
人々は快適なQOL※3や信用獲得のため個人情報を提供することに躊躇しない。
日常行動や健康情報が蓄積され、職住や保険などの判断材料とされるため、
その数値向上に人々は腐心し、メンタルヘルス面の課題も顕在化している。
日本は社会保障費の増大に耐え切れず国民皆保険は大幅に縮小した。中国経済圏に取り込まれながらも、
高付加価値サービスを中心にバリューチェーンの一翼を担うことで存在感を保ち、経済面では安定している。
※1 中国のIT企業であるBaidu(百度/バイドゥ)、Alibaba(阿里巴巴集団/アリババ)、Tencent(騰訊/テンセント)、
Huawei(華為技術/ファーウェイ)の頭文字をとったもの
※2 Online Merges with Offlineの略。
オンラインとオフラインが融合し、その垣根を超えて購買意欲を喚起するマーケティング手法のこと。
※3 Quality of Life(クオリティ・オブ・ライフ)の略。