なれずし
【ハタハタずし】
秋田県の冬を代表する、色鮮やかななれずし
「ハタハタずし」は秋田県の冬の定番料理で、お正月料理として昔から親しまれてきたなれずしです。ハタハタはスズキ目の魚で秋田県の県魚になっています。11月下旬から12月上旬になると、産卵のため男鹿半島付近にたくさん集まってきます。秋田県では大量にとれるハタハタをそのまま食べるだけでなく、しょっつるという魚醤油にしたり、ハタハタずしに加工したりと、重要な食材となっています。
ハタハタずしのつくり方は、新鮮なハタハタを水にさらしてよく血抜きをしたあとに一日酢漬けにします。子持ちの場合は卵を残し頭や尾といった不要な部分を取り除きます。次に、刻んだニンジン、カブ、ユズなどといった彩り豊かな野菜と一緒に、米どころらしくたっぷりのご飯と麹で漬け込みます。重石をかけて2~3週間ほどで食べごろとなります。
このように、ハタハタずしは比較的短期間でつくられています。なれずしは一般的に塩漬けにしたものを本漬けにしますが、ハタハタずしは塩漬けにしないことも多く、塩漬けにする場合でも数日漬ける程度。秋田県内でも地域によってつくり方の違いが若干あるようですが、ハタハタ、ご飯、麹、野菜でつくる点は共通しているようです。
熟成されたハタハタずしは、たっぷりの麹で漬け込んでいるので、なれずし特有の癖のある香りは弱く、食べやすいのも特徴です。一匹まるごと漬け込まれたものは一匹漬けといい、食べやすい大きさに切ってから漬け込まれたものは、切りずしと呼ばれています。一品料理として、そのまま食べられますが、ハタハタを少し焼いて食べても美味しくいただけます。
最近では家庭で作ることは少なくなったようですが、逆に希少価値が高まったことで贈答品としても珍重されているそうです。