2008年度は、第一歩として「食への関心」を取り上げました。食べ比べなどの食体験も交えながら、一番身近な食卓から発想し、「食の未来」のために私たちにできることはないか、様々な角度から考えました。
キリン食生活文化研究所は、
2月19日「農業経営の現状と問題点~東京の非農家出身の私が23年間農業専業でやってこられたわけ」と題して
第4回ワークショップを開催しました。
日時: | 2009年2月19日(木)16:20-17:50 |
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場所: | 東京大学駒場キャンパス 101号館 |
講師: | 土門秀樹(元農水省職員 現山形県で農業経営) |
- ■農水省に入省後、農業改良普及員として佐賀県に赴任、後継者のいない農家の現状に自分でやったほうが早いと28歳で専業農家に転身。農政と流通の問題で苦労したが顔の見える相互信頼(直接販売)に行きついた。
- ■食の安全と安定供給には自給力(農地、水利、担い手、技術)が大事と説く。
- ■日本の担い手は60歳以上70%、39歳以下は5%。諸外国と比較してバランスが悪いのは農業の時給が五百~千円と低いため。農師*資格への想いも紹介。
* 農師制度としてプロの農家を育成するのがよい。医師や教師と同じように、国民の食を支える農家のうち、一定の条件をクリアしたプロの農家を「農師」として認定していくことが必要と思っている。(荘銀総研機関誌『FutureSIGHT』)
- ・時給や耕作放棄地の話題など、生産者の大変な事情がわかった。
外食ばかりだが食糧生産者に思いをはせることができた。 - ・農業が自然を相手とした機械化の難しい産業であることを忘れては結局はうまくいかないことを改めて知った。
食料自給率に関心があったが「いまの食生活」の自給率ばかりに目がいっていたことに気付いた。 - ・人と人のつながりによって成り立つ「食」がシステムに吸収され目にみえなくなっているから、イメージは転換されないと気付いた。農業は知的労働かつ経営力を要する仕事だと思う。
非明示での食べ比べの結果、土門家の米「はえぬき」は、宮城県産「ひとめぼれ」、兵庫県産コシヒカリ」よりもおいしいという人が多かったです。お米の味もブランドイメージに左右されるといえそうです。学生からは、小さい頃からおいしいものを食べていないと違いがわかるようにはならないと思う、という感想が寄せられました。