【ワイン】
水割りワインを楽しんだ古代の人々
ワインがいつからつくられるようになったかは詳しく分かっていませんが、今から5000年ほど前のメソポタミア地方や古代エジプトでは、既につくられていました。また、ブドウの起源はコーカサス地方ではないかとされています。もともとは神に捧げる酒として、おもに儀式などに用いられていましたが、時代が下るにつれ、身分の高い人々も口にするようになりました。古代エジプトでは約3000年前頃には王侯・貴族以外の人々も飲んでいたようです。
その後、ワインは古代ギリシャでも飲まれるようになりました。古代ギリシャの人々はワインを水や海水で割って飲んでいたとか。蜂蜜や香辛料などを混ぜて味や香りをつけることもありました。やがてワインは古代ローマへと伝わりました。紀元1世紀に博物学者プリニウスが記した『博物誌』によると、紀元前121年にワインの歴史的な「当たり年」があったそうです。そのころから、ワインをそのまま飲むスタイルになったといわれています。
日本でワインが飲まれるようになったのは近代以降ですが、江戸の元禄年間(1688~1704年)には、すでに甲州(山梨県)でブドウが栽培されていました。当時の儒学者、荻生徂徠は「勝沼(現在の山梨県甲州市勝沼町)の宿は人家多く繁昌なるところ甲州街道で第一番地、甲州葡萄は此国の名物なり」と『峡中紀行』に著しています。明治時代になり、はじめて日本でワインが本格的に醸造されたのも勝沼でした。
ところで、ブドウの品種によって、できるワインの色や味わいは大きく異なります。赤ワインの原料としてはカベルネ・ソーヴィニヨンやメルロー、ピノ・ノワールなど、白ワインの原料としてはソーヴィニヨン・ブランやシャルドネ、リースリングなどがよく知られていますが、このほかにも世界中でさまざまな品種が、ワインのためにつくられています。
また、薔薇色のロゼワインや、完熟したブドウ果の表面にボトリティス・シネリアという貴腐菌が繁殖することにより糖度と香りを高めた貴腐ワインなど、つくり方によってさまざまなヴァリエーションがあるのもワインの魅力。びん詰めしたあとに発酵がすすみ、びん中で発生した炭酸ガスによって発泡する、シャンパーニュなどの発泡性ワインもあります。ワインを蒸留するとコニャックやグラッパなどのブランデーになります。