2010年度のテーマは、「国際化と食」。キャンパスの国際化を「食」という視点からとらえ、文化的多様性を学び、理解しあう活動を行いました。また、新入生の「食」リテラシー向上を目指し、学生たちの手で、これらの活動をまとめたガイドブック「駒場を食べよう」を作成し、新入生に配布しました。
キリン食生活文化研究所は、10月14日(木)、「中国・ベトナムにおける商品開発について」と題してワークショップを開催しました。
日時: | 2010年10月14日(木)13:00-14:30 |
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場所: | 東京大学駒場キャンパス |
講師: | キリンビール株式会社 マーケティング部 和洋酒担当主幹 斉藤幸信 |
本年度プログラムのキックオフとして、「中国・ベトナムでの商品開発」と題して、キリンビール マーケティング部 斉藤幸信が、アジアでの体験をふまえてレクチャーを行いました。斉藤は前職のキリンビバレッジ社にてアジア展開を担当。中国で現地版「午後の紅茶」の、またベトナムで新規ブランドの開発を行った経験にもとづく話は、食をとりまく各国事情が垣間見えるレクチャーとなりました。
斉藤は、アジアでも日本同様、事業やマーケティングの全体観をもって商品開発を進める必要がある。その際には、日本とは言語・文化・情報のギャップがあることを考慮すべきと語りました。
マーケティングの4Pにあてはめてみると…
- ■プロダクト
味覚は非常に重要な要素であるがすべてではない。容器やパッケージデザインは競合優位なものをつくりやすいので日本以上に重要。 - ■プライス
低価格・低流通マージンのアジア市場では店頭価格設定・流通価格体系設定は大変重要な要素。 - ■プレース
現地と日本で一番情報ギャップが出やすく、一般的に日本企業は苦手だが決定的に重要な要素。チャネル障壁の前ではマスマーケティングも無力になりかねない。 - ■プロモーション
これも情報ギャップが出やすい領域。ローカル企業は何でもありのプロモーションを展開するので外資企業と差がつきやすい。
事例として、日本ブランドを活用することで「午後の紅茶」を中国でも有力ブランドに育てた上海の例と、現地の嗜好を徹底調査し、ゼロから新商品を作り上げたベトナムの例をあげ、海外展開の難しさと醍醐味を話しました。
学生からは、「海外展開の際に日本の本社が果たす役割は何か?」「日本に比べて高額な価格設定になっているが誰が買うのか?」といった鋭い質問が出され、関心の高さがうかがえる活発な議論が交わされました。
また、ディスカッション後は日本の「午後の紅茶」と中国の「午後の紅茶」の試飲も実施。パッケージデザイン、表記や味の違いなど、現地化の工夫の結果を体験しました。