Scenario F 多様な価値が乱立し選択眼が求められる社会
周囲に左右されず、
自分の価値観を大切に生きる社会
日本経済は多少乱高下しながらも、株価は比較的安定し将来への不安は少なく、社会の成熟度は高い。
周囲の評価やマスコミの情報よりも、自分らしさや自分の価値観を大切にして生活する人が増え、
お金の多寡で幸せは決まらないという考え方が広く浸透している。
それぞれの働き方やくらし方は個性として認められていて、多様な価値観が共存している。
大企業で働くことは手段の一つでしかない。
IT化やクラウドファンディングで加速する、
価値観の多様化と細分化
ITの普及と社会貢献意識の高まりが影響し合い、CtoCビジネスやクラウドファンディングが発達。
起業を試みる多くの人たちが、資金を得るようになる。
これを活用した起業家は一気に増加し、経済活動の担い手は大企業から個人まで多様化・多層化し、業界内はプレイヤーが乱立する。
その中には、社会全体をよくしようという考えから、営利、非営利を問わず、ソーシャルデザインに取り組む人も多い。
生活者向け商品やサービスは、多様な提案が実現できる環境が整うことで、生活者にとっては選択肢が増えることになり、
更に生活者の価値観の多様化や細分化が一層すすむ。
モノからコトへ、コトからトキへと体験価値を重視する傾向が強まり、オリジナリティを求めるカスタマイズ欲求も高まる。
モノづくりやサービスへの生活者の関与度が高まり、作り手との共創が進む。その際重視するのが企業の想いや志。
世界観への共感が、消費を通じた応援へと変わり、価値を拡散するエバンジェリストになる。
きめ細かいニーズに対する新価値創造が奏功し、日本発のベンチャーで海外で事業拡大する企業も珍しくはない。
多様化する消費者の価値観への、
大手企業の対応
ネットやコンビニの利便性サービスの強化に対抗し、買い物体験を豊かにする小売形態が広がり、
リアルならではの楽しさや幸せな消費体験が求められるようになる。
大手企業は、細分化する生活者ニーズに対して競合の影響や流通の要請でフレキシブルな対応が求められるようになるが、
既存のバリューチェーンではSKU増にも悩まされ利益率が悪化する。
オープンイノベーションやアクセラレータープログラムで元気のあるベンチャー企業を見つけて自社に取り込む事や既存企業で培った
自社のリソース(原料調達や物流、顧客接点)の部分提供をするなど、
ビジネスモデルの見直しをすることで、今までとは違う価値を提供出来るチャンスが生まれる。