キリン食生活文化研究所(以下、食文研)は2019年11月に「未来シナリオ会議」を開催しました。「未来シナリオ会議」は多様なバックグラウンドを持つ方々と、これからの世の中の変化についての意見交換を行うことを通じて、互いに知見を広げ、未来への洞察を深めるために行っている活動です。
今回のテーマは「のみもの×デジタルで出来ることを考える」。最近は「デジタルトランスフォーメーション」という言葉を聞かない日が無いくらい、多くの注目が集まっています。デジタルトランスフォーメーションは単なる効率化だけでなく、これまでとは全く異なる新たな価値を提供できる可能性を秘めた変化です。デジタルトランスフォーメーションが進んでいくこれからの世の中において、キリンは「のみもの」の領域で、どのような新たな価値を提供していける可能性があるのか、キリン社員だけでなく、自動車業界・住宅業界・電子部品業界など8社の方々とディスカッションを行いました。当日の様子を共有します。
食文研ではシナリオプランニングの考え方を用いた4つの未来シナリオを作成しています。このシナリオは、現在起きつつある変化の兆しから、起きてほしくないが起こりうる不都合なものも含めて未来を描いたものです。今回は4つのシナリオのうち、特にデジタルトランスフォーメーションの影響が色濃く出る2つのシナリオ(Aのシナリオ・Fのシナリオ)の中で、どのような可能性があるかを考えました。デジタルトランスフォーメーションもシナリオが異なれば与える影響も異なってきます。参加者の皆さんにはそれぞれのシナリオの世界に入り込んでもらい、のみもの×デジタルでの新たなアイデアを考えていただきました。
社内でも新規アイデアを考えることはありますが、どうしても考え方の方向性は近くなってしまいがちです。そこを社外の方の異なる視点で広げながら、多様なアイデアを出していきました。例えば生活者の「飲む」行為のデータを取ることによって、タイミング・温度など個々人に最適な状態で提供するデジタル水筒のビジネスアイデアや、ワインのボトル残量データを取ることで他の人とのシェアを容易にし、一人ではワインのボトルを飲みきれないという「不」を解消するビジネスアイデアなど、デジタルトランスフォーメーション時代ならではの新たな価値を提供できるアイデアが多数出てきました。同じように中長期の未来社会のことを考えていながら、それぞれ違う視点を持っている方々との交流は刺激的で、多くの学びがありました。社外の参加者の方からも、キリンの未来の見方を知れて参考になったとのお声をいただきました。ワークショップ終了後に行った交流会でも活発な意見交換を行いました。
多様な視点を持つ方々と共に未来への洞察を深めていくために、「未来シナリオ会議」をこれからも実施していきます。