発酵食品名鑑

日本各地の発酵食品をご紹介します。世界の食文化研究の第一人者、石毛直道の「発酵コラム」も必読です。
  • 味噌

【越後味噌】

雪国の風土が育てたふるさとの味。

米どころとして有名な新潟県ですが、地域ごとに近隣の地方の影響を受けた独特の風味を持つ、特色豊かな味噌がつくられています。その中でも、越後味噌は米麹の粒が白く残って見えることから、浮き麹味噌とも呼ばれています。

一般的に越後味噌というと辛口の赤味噌として知られていますが、北部は仙台味噌のような辛口、南部では関西味噌を思わせる甘口というように、地域によって味や見た目のバリエーションに富んでいます。

越後味噌の中に白く見える粒は、米麹の粒です。伝統製法でつくられた越後味噌は、麹の粒を崩さないほどていねいに仕込んでいるので、味噌を溶くと残った米麹の粒がふわりと浮き上がってきます。

この越後味噌を使った料理では、北部の下越地方で供されるけんさ焼きという冬の定番料理が有名です。丸むすびをこんがりと焼き、おろしショウガやゴマなどを混ぜた少し辛口の味噌をつけて二度焼きをします。番茶をかけて味噌握り茶漬けにしてもおいしい、米どころ新潟ならではのおにぎりです。

上越地方や長野県の奥信濃地方では、5月から6月ごろに採れる千島笹(別名:根曲竹)のタケノコと、鯖の水煮を入れた味噌汁が郷土料理として親しまれています。雪も溶け、暖かさを感じるようになってきたこの時期に、待ちわびた春を季節の味噌汁で祝うというのは雪深い地方ならではの楽しみといえるでしょう。

また、大豆をつぶして乾燥させた「打豆(うちまめ)」も、味噌汁の具材として北陸地方を中心に昔から食べられています。打豆はもともと冬の保存食として食されていましたが、大豆そのままの栄養価をもち、手を加えているため早く煮えるので、今では味噌汁だけでなく様々なお料理に入れて楽しまれるようになりました。