日本各地の発酵食品をご紹介します。世界の食文化研究の第一人者、石毛直道の「発酵コラム」も必読です。
【金山寺味噌】
元々は中国から持ち帰られた、保存食。
金山寺味噌は、調味料ではなく、おかずの一品としていただく味噌。ですから、初めて金山寺味噌を見た方は驚かれるかもしれません。ウリやナスなどの野菜が入った「なめ味噌」で、保存食として親しまれてきました。
金山寺味噌は、鎌倉時代に法澄国師(無本覚心)という僧侶が中国、当時の宋の国から持ち帰ったといわれています。この時修行をしていた寺が「径山寺(キンザンジ)」であったため、最初は「径山寺味噌」と書かれていましたが、いつしか「金」の字に変わったということです。
金山寺味噌は、非常にたくさんの野菜が刻んで混ぜ込まれているのが特徴です。一般的には夏に仕込みをするため、中に入る野菜はウリやキュウリといった夏野菜が中心になっています。
金山寺味噌の地元和歌山では、茶粥と一緒に食べられることが多いですが、お料理にも多く使われています。
和え物に少し加えれば、風味が増すだけでなく、それだけで違った歯ごたえも楽しめます。煮魚の隠し味として使っても、風味豊かになり深みが増します。
手軽に使うだけで、料理に満足感を与えてくれる金山寺味噌。長期保存できるおかずとして、隠し味として、金山寺味噌をご家庭で使ってみてはいかがでしょうか。