未来のヒント

人をよぶということ~ホームパーティへのあこがれ~

初心に戻る

家を買う時、つくる時に、多くの人は、ホームパーティーのことを思い浮かべるかも知れません。とくにダイニングやリビングのあり方を考える時、誰かをよんで楽しく過ごしているイメージは頭によぎるものです。とはいえ実際に家を手に入れたあとは意外に人をよばないものです。1年ぐらいは友達や親戚をよんだりするものの、多くの人は年に数回あるかないかのことになってしまいます。でも考えてみるとこれはもったいない話です。家に人をよぶという事は、人に家を見せるという事、きれいに整えて少しでも気持ちよい空間に戻すチャンスとも言えます。家を人前に出す事で、家への意識は大きく変わるものです。もちろん自分が気持ちいいというのはありますが、人が来るならその時には、整えるだけでなく、花を買ったり、照明を考えたりとするでしょう、音楽を選んで、アロマをたいてと人を喜ばせようと思うもの、その気遣いが家をたのしく、美しくすることにつながっていくとも言えます。
 人をよぶとは、もう一度暮らしをリセットするようなもの、こうした習慣をもつことで、多くの現代人が慌ただしく過ごしている日常の中で、家をつくったときの初心に戻る事ができるようにも思います。

気軽に始めてみたいホームパーティー

さて人をよぼうと思うと、おもてなしの料理で頭がいっぱいになるかもしれません。先日行ったアンケートでもホームパーティをしたいと答えている人は8%しかしませんでした。でもそんなに肩肘張らずに、いつもの日常の料理でおもてなしは十分出来るはずです。豪華な物でなくても少し時間をかけて丁寧にすることで気持ちは十分伝わります。器やしつらえもちょっとした気配りで随分と雰囲気が変わるものです。こうした少しの手間と、気遣いの連続は習慣のようなもの、まず始めてみる事が大切です。少し重たくなる気持ちを振り切って、親しい仲間をよんでみるところから始めてみてはいかがでしょうか。きっと何かが変わるはずです。そしてなにより、家族同士のコミュニケーションももっとよくなるはず、夫婦や子供も一緒に共通の話題のできる絶好の機会です。

豊かさと時間

少し我々の文化について考えてみましょう。日本人には「簡素」という、あえて清貧を楽しむという美意識があります。しかしそれをなりたたせるのは、ものの豪華さではなく時間をかけることです。迎える人に対する想いを表現するために、その手間をかけることで、気持ちを表現しています。玄関に打ち水をするとか、庭の花を摘んで活けてみるとか。それは決して豪華なことではなくて、小さな気遣いの積み重ねなのです。私たちは暮らしをついつい豪華なものに求めてしまうかも知れませんが、最も大切な「時間」というものに意識を傾けてみてはどうでしょうか。大きなものより小さなもの、贅沢な物より普通のもの、そこにこそ、美しさや豊かさを感じるのが我々の文化なのかもしれません。
 自分の暮らしにもう少し時間をかけてみること。毎日ではなくても、時々催す友人達とのパーティー、普段忘れてしまった気持ちのゆとりを取り戻す良い機会になるのではないでしょうか。

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