研究員が考える未来

知らないうちに楽しく地産地消ができる仕組み

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地産地消をバックアップする取り組みが増えてきた。オンラインストアにおける環境負荷スコア表示は、スコアに輸送時のCO2排出量が加味されれば近場で生産されているものを選ぶインセンティブになりそうだし、地域通貨でしか買えない裏メニューは、地域内で完結するお金の流通に寄与しそうだ。住みたい家を地域産材を使って誰でも設計できる、構造設計プラットフォームも立ち上がった。
いずれも、地産地消を大上段に振りかざすのではなく、仕組みを通して、消費者が楽しく自然に地域貢献できるように促している。こうした取り組みが広がっていけば、それぞれの地域内だけでなく、ツーリストを呼び込むなど、地域活性にもつながりそうだ。

注目した事象

  1. H&Mは商品の環境負荷をスコア化してアプリで表示

    H&Mが欧州と米国のオンラインストアで、環境負荷の"見える化"として、商品の一部にスコア表示を実施した 。使用された素材の環境への影響に基づいてスコア化される。化石燃料の使用、水質汚染などへの影響に関するデータも表示される。カーボンフットプリントの小さい商品を選ぶきっかけにもなりそうだ。

  2. 岐阜県高山市の「地域通貨」が住民にかかせない仕組みに

    岐阜県高山市の地域通貨「さるぼぼコイン」。信用金庫と協力し、手数料が域外に流出するクレジットカードではなく、現金を紐づけることでお金の地産地消を実現した。さるぼぼコインだけでしか買えない裏メニューもある。アプリ上では防災情報や交通情報も通知し、住民に欠かせない仕組みとなりつつある。

  3. 地域内の木材を活用するデジタル家づくりプラットフォーム

    「Nesting β」は、3D木材加工機と地域産材を使い、地域内で完結する新しい住宅供給を具現化するプラットフォーム。施主がアプリを使い簡単な間取りを入力すると、構造躯体が自動で立ち上がる。注文住宅のシステム化だ。誰でも自分の住みたい家を設計できる「建築の民主化」が、地産地消も推進していきそうだ。

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