日本各地の発酵食品をご紹介します。世界の食文化研究の第一人者、石毛直道の「発酵コラム」も必読です。
ブドウやリンゴをはじめ、ナシやサクランボなどあらゆる果実は何千年も前から酒の原料とされてきました。果汁に含まれる糖分を、果皮などについた酵母が分解することにより、発酵がすすみます。
ヤシの仲間やリュウゼツランの仲間などには、糖度の高い樹液が得られるものがあります。こうした植物を利用して、地域ごとにいろいろな酒がつくられています。
アジアを中心に水が豊かで温暖な土地には稲作が広がり、メソポタミアや古代エジプト周辺には麦の栽培が広がりました。また、アメリカ大陸では、インカ帝国やアステカ王国のころから、重要な作物としてトウモロコシが広く栽培されていました。雑穀のキヌアもおなじ中南米原産ですが、ほかにもアフリカのタカキビやシコクビエなど各地にさまざまな穀物があり、酒づくりに利用されています。